これまで日本において、医療用サージカルマスクに関する明確な性能基準や規格はありませんでした。そのため、マスクの性能を確認する目安としてASTM規格やEN規格が用いられてきました。 しかし2021年6月に、一般用及び医療用のマスクに対してそれぞれにJIS規格(JIS T 9001:2021)が制定されました。サージカルマスクの規格基準はマスクのフィルター性能の基準であるため、タイ(ヒモ仕様)付きタイプとイヤーループタイプでの差異はありません。
日本における医療用サージカルマスクの規格基準が JIS T 9001:2021になります。
医療用マスクは、クラスI、クラスII及びクラスIIIの3段階に区分され、下記の品質基準に適合しなければなりません。クラスの数が大きいほど防御性能は高くなります。
| クラスⅠ | クラスⅡ | クラスⅢ | |
|---|---|---|---|
| 微小粒子捕集効率%(PFE) | ≧95 | ≧98 | ≧98 |
| バクテリア飛まつ捕集効率%(BFE) | ≧95 | ≧98 | ≧98 |
| ウイルス飛まつ捕集効率%(VFE) | ≧95 | ≧98 | ≧98 | 圧力損失Pa/cm2 | <60 | <60 | <60 |
| 人工血液バリア性kPa | 10.6 | 16.0 | 21.3 |
| 可燃性 | 区分1 | 区分1 | 区分1 |
| 遊離ホルムアルデヒドμg/g | ≦75 | ||
| 特定アゾ色素μg/ga) | ≦30b) | ||
| 蛍光 c) | 著しい蛍光を認めず | ||
注a) 着色又は染色された製品についてだけ試験を適用する。
注b) 生成された特定芳香族アミン24種それぞれが30 μg/g以下でなければならない。
注c) マスクの呼吸に係る本体部(耳掛けゴムなどの付属品を除く。)だけに適用する。
世界規模の標準化団体であるASTM Internationalにおける医療用サージカルマスクの規格基準がASTM F2100-20になります。
医療用のサージカルマスクとして3つレベルがあり、レベル数が大きいほど防御性能は高くなります。医療用マスクとしては少なくともLevel1以上の性能を有することが望ましいです。
| Level1 | Level2 | Level3 | |
|---|---|---|---|
| バクテリアろ過効率%(BFE) | ≧95 | ≧98 | ≧98 |
| 圧力差mm H2O/cm2 | <5.0 | <6.0 | <6.0 |
| 微粒子ろ過効率%(PFE) | ≧95 | ≧98 | ≧98 |
| 液体防御性能mmHg | 80 | 120 | 160 |
| 難燃性レベル | クラス1 | クラス1 | クラス1 |
ASTM F2100-20 Standard Specification for Performance of Materials Used in Medical Face Masks
欧州規格での医療用のサージカルマスク基準がEN 14683:2019になります。
この規格では2種類の医療用マスクの基準について設定されています。 タイプIの医療用マスクは、感染のリスクを低減するために患者が、またタイプIIは医療現場で医療従事者が使用することを目的としています。
| TypeⅠ | TypeⅡ | TypeⅡR | |
|---|---|---|---|
| バクテリアろ過効率%(BFE) | ≧95 | ≧98 | ≧98 |
| 圧力差 Pa/cm2 | <40 | <40 | <60 |
| 液体防御性能kPa | 要求なし | 要求なし | ≧16,0 |
| バイオバーデンCFU/g | ≦30 | ≦30 | ≦30 |
EN 14683:2019Medical face masks – Requirements and test methods
レスピレーターの1つであるPAPRの規格基準は、業務関連傷害・疾病の防止を目的とした研究および勧告を行う連邦機関である、 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)では、Code of Federal Regulations (連邦規則集:CFR)の中で定められています。
| タイトフィットタイプ | ルーズフィットタイプ | |
|---|---|---|
| 最低風量 | 115L/min | 170L/min |
| 騒音レベル | – | 最大風量で80dB以下 |